天然ガス価格が暴落している。価格指標の1つである英国NBPの天然ガス価格(ICE先物直近限月終値)は、6月30日から8月13日の1ヵ月半で29%も下落した。 要因は「需要減退」である。天然ガス価格は、原油と比べて投機資金による影響を受けにくい。つまり、世界経済失速に伴う実需減退が、より顕著に表れているといえる。「電力向け、工場向けといった産業用の需要が弱い。需要減の懸念は以前からあったが、想定以上。在庫も平年以上に積み上がっている」(芥田知至・三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員)。 8月5日に起きたトルコのパイプライン事故や、ロシアのグルジアへの軍事介入は、本来なら供給懸念を招き、相場上昇の材料となるはずである。ところが、「問題が生じても反応がなくなるほど、市場のムードが変化してしまった」(平山順・日本先物情報ネットワーク主任研究員)のだ。 天然ガスだけではない。商品市場