【北京=矢板明夫】チベット暦の元日にあたる2月11日を前に、中国当局はチベット族による暴動や騒乱を警戒して、チベット仏教の僧侶らを“学習”との名目で拘束し、海外からの“情報”を遮断するために衛星放送アンテナを大量没収するなど、厳しい締め付けをはじめた。一連の強硬策の背景には、昨年11月に最高指導者に就任した習近平総書記が「強いリーダー」を演出することで、弱い政権基盤を補強したいとの思惑があると指摘される。 北京のチベット人支援者によれば、今年1月中旬、ラサ市内にある主な3つの寺院の高僧や仏典講師15人が、中国当局に呼び出された。「政治問題の学習クラスを実施する」との名目で連行され、2週間以上たった現在も音信不通状態が続いているという。 また、青海省黄南チベット族自治州からの情報によれば、今年に入ってから、同地域への外部の人間の出入りが厳しく制限され、携帯電話やインターネットも通じにくくなっ