中国の不良債権の拡大に警鐘を鳴らすデータが、ここ最近、相次いで公表されている。内閣府が8月まとめた報告書「世界経済の潮流」は、不良債権に計上される恐れのある銀行の要注意債権の残高が、2年で倍増したと指摘。民間シンクタンク大手の日本総合研究所が発表した中国の推定不良債権が、公式統計の10倍に上るという試算リポートは、さらに大きな衝撃を市場関係者らに与えた。中国に待ち受けるのは「金融危機」か、はたまた大胆な構造改革路線による不良債権問題の解決か。政権内部では経済政策の路線対立も根深く、先行きはまったく読めない状況だ。 ◇ 「(中国の)景気が減速する中、要注意債権の不良債権化に注意が必要だ」。内閣府は「世界経済の潮流」の中で、こう警鐘を鳴らした。 中国では、債権を「正常」「関注」「次級」「可疑」「損失」の5つに分類して、最後の3つを、不良債権としている。 内閣府が要注意債権と呼ぶのは、不良債権の