3月、鹿児島県の種子島宇宙センターで打ち上げられたH2Aロケット。文科省は後継のH3ロケットの開発費を増額要求した 文部科学省は二〇一六年度の概算要求で、災害対策は「広義の安全保障」にあたるとして、気候変動のデータを集める衛星の開発費などの事業を一五年度当初予算より37%増の八百十九億円を求めた。「広義の安全保障」は第二次安倍政権の発足後にできた考え方で、同省はこれを名目に予算を増やしている。識者は「政権が重視する安全保障の名のもとに、国民の安全とは関係の薄い予算が膨らむ恐れがある」と警鐘を鳴らす。 (吉田通夫) 文部科学省の主な概算要求をまとめた「概算要求主要事項」には「安全保障・防災/産業振興への貢献」という分野があり、一六年度は気候や地殻の変動などを観測する新しいレーダーを搭載した衛星の開発や、H2Aロケットに続く「H3ロケット」の開発など五つの政策を例示。「広義の安全保障」などに役