久しぶりの白洲次郎である。 私は小説の主人公はすぐ惚れるのに、現実に生きる人には慎重だ。その私が久しぶりに心から「カッコいい!」と思った現実の人、白洲次郎。残念なのは、すでに鬼籍に入っているということである。 白洲次郎となだれ込み研究所の類似点を見つけた。キーワードは「社会を横断する孤独」。 『白洲次郎の流儀』(白洲次郎、白洲正子、青柳恵介、牧山桂子著・新潮社2004年刊)の中で、青柳恵介はこう書いている。 戦前は近衛、戦後は吉田のブレーンであったけれど政治家ではなく、東北電力の会長をやめたあと、いくつかの会社の役員を務めたが、財界人にもおさまっていない。文士や芸術家に知己が多いけれども、いわゆる文化人でもない。あえて言うなら白洲次郎は様々な社会を横断した人であった。 日本の社会は所属する組織がはっきりわかる人には心を許すが、そこを横切って行く人に対しては冷たい社会である。あなたは何者です