甘利明・前経済再生相の事務所の現金授受問題は、辞めた公設秘書らによる「口利き」の有無が焦点の一つとなっている。議員秘書や役人によると、議員側の役所などへの働きかけは日常的にある。どのような「口利き」が法に抵触するのか、識者の見方も分かれている。 「新技術を開発した地元業者がいるから会ってもらえないか」。ある農林水産省幹部には、そんな依頼が国会議員の秘書から年10件以上寄せられる。予算配分や官僚人事に関与する議員側の依頼は断りにくく、業者には「基本的に会わざるを得ない」。だが、それ以上の要望は断るという。 「支持者の子が大学を受ける。何とかなるかなあ」。別の中央省庁幹部は数年前、国会議員秘書から電話を受けた。「難しい」とやんわりと断ったが、中には菓子折りを渡してくる議員も。要望は聞き、ほぼ同額の菓子を返す。「自分の身を守るため、細心の注意を払っている」 国土交通省職員の一人は「政策を通すため