かつてシベリアには、「囚人の穴掘り」という拷問が存在したことを知っている人はいるだろうか。 捕らえられた囚人は凍てついた何もない荒野に連れて行かれ、看守から、 「ここに大きな穴を掘れ」 と命令される。 そして穴を掘り進めていると、半日ほど経ってから 「よし、埋めろ」 と言われるので、半日かけて埋め戻す。 さらに翌日、 「よし、もう一度掘れ」 と命令され、また半日が過ぎると 「よし、埋めろ」 と命令される。 この拷問では、こんな日々が延々と続く。 毎日毎日、朝から晩まで同じことの繰り返しだ。 穴を掘る場所や深さも日替わりで、看守のその日の気分でしか無く、合理性は一切ない。 しかし看守に逆らうことなど、もちろんできない。 不平不満を言おうものなら文字通り殺されかねない。 そのため、どうすることもできずにこの無意味な命令に従い続けるのだが、こんな日々が続くとどれほど心身屈強な囚人であっても、時間