やたらと安い居酒屋とか、しみったれた飲み方に詳しい大阪在住のスズキナオさんという友人から、京都の嵐山に最高の飲み屋を見つけたから遊びにこないかという連絡をいただいた。 なんでも船に乗って川を渡ってようやく辿りつく、知る人ぞ知る穴場スポットらしいのだ。それってすごく高い店なんじゃないだろうかと心配だったが、これがナオさんらしい最高の店だった。
大阪在住のフリーライター。酒場めぐりと平日昼間の散歩が趣味。1,000円以内で楽しめることはだいたい大好きです。テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーとしても活動しています。(動画インタビュー) 前の記事:関西一の酷道!暗峠にある「峠の茶屋 すえひろ」が最高だった なかなか入ることのできなかった「かき広」 数か月前のある夜、用があって久々に淀屋橋へ行った。用事を済ませて地下鉄の駅から帰ろうとしたところ、「かき広」のネオンが光っていた。 光り輝く「かき広」のネオン それを見て、「え、この店って営業しているのか」と驚いた。近くを歩くたびに気になっていたが、その年季の入り具合からして、失礼ながら「もう廃業してしまっているのかも」と勝手に決めつけていたのである。ネオンが光っているということは、営業しているんだろう。 しかし、その日は急いで帰宅せねばならず、後ろ髪を引かれつつ駅へと急いだ。今度こそ
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一つの時代が終わった、とつくづく思わずにはいられない。子供心にも戦前のこの国を多少とも知っており、「戦後は終った」といわれた1960年代にあなたがその才能を遺憾なく発揮された途方もない世代の終焉である。その時代をともに生きていられたことを、この上なく幸運なことだったといまは自分にいい聞かせることしかできない。わたくしたちは、中国大陸への理不尽な軍事侵攻が活況を呈しはじめたころ、そんな事態はまったくあずかり知らぬまま、侵攻しつつあるこのちっぽけな島国に、みずから責任はとりがたいかたちで生をうけた。早生まれのあなたとわたくしとは、年齢では一歳違う。学年で言うと二年の差があるが、ほぼ同時代人といってよかろうかと思う。 とはいえ、あなたが四国の鬱蒼とした森に囲まれた山岳地帯で過ごされたほぼ同時の幼少年期の体験のあれこれは、あなたの作品をいくら仔細に読んでみても、東京生まれのわたくしには、まるで異国
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