「現代アメリカ最高の映画作家」といえばマーティン・スコセッシだ。日本だとスピルバーグやイーストウッドのほうが優勢な感じだ(し比べるものでもない)が、母国における「マーティ愛」の特別なところは、若者まで巻き込んだ文化的会話を創造しつづけている点だ。新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023年)初日における北米観客は約半分が35歳未満。渋き巨匠大作としては驚異的だ。 「カリスマ悪党」の創造主英語圏映画ファンダムで愛用されるスコセッシのミーム郡。「これは真の芸術映画」と崇めるときに用いられる スコセッシの魅力はアウトロー美学だ。かつてオルタナティブだった「ストリート」作風、スタイリッシュで残忍な暴力、国家アメリカの根源に通ずる男性中心の共同体、カトリック的な問いかけ……ここから生まれるキャラクターこそ、勧善懲悪によって完封されない/されることすら赦されない脆さと愛嬌を持ちあわせる罪人(
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