多角経営の失敗やオイルショックなどで、1970年代まで慢性的な借金経営が続いていた任天堂(前編を参照)。しかし、ひとつの商品が、その後の任天堂を大きく転換させ、成長させるキッカケになりました。1980年に発売された、世界初の携帯型液晶ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」です。 前述の「ウルトラハンド」や「ウルトラマシン」などのヒット商品を手がけてきた横井軍平氏が、新幹線に乗っているときにサラリーマンが電卓をいじっているのを見て発案したというゲーム&ウォッチは、任天堂が抱えていた負債をすべて返済できてしまったほどの世界的な大ヒットを記録しました。そして、ゲーム&ウォッチで得た資金をもとに、任天堂はアーケードゲーム事業に本格参入。アーケードゲームのキャラクターとして生まれた『マリオブラザーズ』や『ドンキーコング』などは、のちのファミコン人気を支える大きな財産へと成長していくことになります。 …