福島第1原子力発電所事故による放射能漏れで、食を取り巻く環境は一変した。国が安全宣言を 出したあとに暫定規制値を超過する食品が流出するなど、公的検査の信頼性が失墜するなか、食品関連企業は独自に放射能検査を始めた。食の安全はいったい誰 がどう保障するのか。ずさんな食品放射能検査体制の実態を明らかにする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子) 千葉県柏市。駅前商店街の雑居ビル2階の放射能測定器レンタルスペース「ベクミル」には、平日の朝からひっきりなしに客が訪れる。手に持っている ビニール袋には、刻んだ食品が入っている。測定器がずらりと並ぶ店内では、20分980円で持参した食品の放射能を測ることができる。 柏は首都圏でも空間線量が局地的に高いホットスポットとして知られる。「公的な検査では測り切れないものを自由に測れる検査設備が欲しい」という 請願が市民から出されたが、市はこれを却下した。そこで