フリーライターの増田美智子さんが書いた「福田君を殺して何になる」(インシデンツ)の出版をめぐっては、10月5日に光市事件の弁護団が広島地裁に出版差止めの仮処分を請求したことで波紋を呼んでいます。10月7日付けの北海道新聞によると、弁護団側は「実名表記に同意せず、中止を求めたのに出版を強行した」とし、著者の増田さんは「本人に実名で書くと伝え、了解を得ていた。仮処分の目的は弁護団による事前の検閲。報道の自由への重大な侵害だ」としています。 発売前であるにも関わらず、実名表記についての本人の了解をめぐって弁護団が仮処分申請をしたことについて、正直いって非常に驚きました。本のタイトルから察するならば、被告人である元少年の視点に立った本としか思えないのに、著者と弁護団の間でこのような対立が生じるのはなぜなのか? 両者の間に何があったのか? その疑問は、本書を読むことで解けてきました。 本書の執筆