コロナの蔓延をきっかけにキャンプブームが訪れ、去っていきました。中古用品店を覗くとアウトドア用品が山と積まれています。残念なことに、キャンプもまた大量生産・大量消費の流れに取り込まれてしまったようです。「キャンプは人との接触を避けられるレジャーだったからコロナ禍で流行した。接触が解禁されれば、ブームも去る」。そう言ってしまうのは簡単ですが、他者との接触を避けられる遊びはほかにもありました。きっと、過密の回避以外にもたくさんあるレジャーのなかからキャンプが選ばれた理由があったはずです。多くの人がキャンプのなかに「素敵なもの」の気配を感じたものの、それに気づけないまま通りすぎていったのではないでしょうか。その素敵なものの正体とは何か。簡素なキャンプのなかに、そのヒントが隠されています。