【シンガポール=青木伸行】ベトナム政府は25日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺海域で、中国海軍の艦船がベトナム漁船1隻に発砲し、中国側に強く抗議したことを明らかにした。 ベトナム外務省によると、事件があったのは20日。中国海軍艦船は、漁船を約30分間にわたり追跡した後、警告なしに発砲した。 漁船は積んであった4つのガソリンタンクとともに炎上した。乗組員にけがはなかった。 今月に入りベトナム漁船が中国艦船に追跡されたケースは4件にのぼっているが、発砲を受けたのは今回が初めて。 ベトナム政府はこの事態を重く受け止め、在ベトナム中国大使館を通じ、中国政府に「非常に深刻な事案であり、ベトナムのパラセル諸島の領有権主張と、漁民の生命を脅かすものだ」と強く抗議した。 中国海軍の南海艦隊は南シナ海で遠洋訓練を行っており、23日からスプラトリー(中国名・南沙)諸島で監視活動を開始するなど動きを