銀河系(天の川銀河)の中心部では巨大な分子雲が大小二つの楕円(だえん)軌道を周回しており、衝突した場所では磁力によってらせん状にねじれた別の分子雲が発生していることが分かった。慶応大と国立天文台の研究チームがこの分子雲を「豚のしっぽ」と名付け、4日までに米天文学会誌に発表した。 これらの分子雲は星の材料となる水素などで構成される。慶応大理工学部の岡朋治准教授は「巨大な分子雲同士が衝突している確証が得られた」と話している。磁力によるらせん形状は、銀河中心のブラックホール付近から噴出するガス流(ジェット)や太陽のコロナでも観測されている。 研究チームは国立天文台野辺山宇宙電波観測所(長野県南牧村)の電波望遠鏡を使い、宇宙空間にある一酸化炭素の観測を通じて、分子雲の分布や動きを調べた。その結果、地球から約3万光年離れた銀河系の中心部で、長さ約100光年のらせん状分子雲「豚のしっぽ」を発見した