既成のアカデミックな歴史学への批判(否定ではない)的姿勢を崩さず、アボリジニ達の「ケネディ大統領が俺達の村にやってきた」というような「語り」を、単に史実と異なる誤りや、彼らが信じている神話の一種だとして切って捨てるのではなく、まず「歴史的実在」として受け止めよ、と主張する保苅実の立ち位置は、一見社会構築主義的な近代批判に極めて近いもののように思われがちだし、実際彼が生前一緒に活動していた人々にはそういった立場の人が多いようだ。 この本にも時々そういった文化左翼的な背景に立ったやや硬直的と思われる政治的発言をしている箇所があり、そこははっきり言ってあまり評価できない。ただ、それでも僕は彼の著作からは大きなインパクトを受けた、と言わざるを得ない。それは、スピヴァクが自省をこめて語っているように多くのカルスタ・ポスコロの理論家が「フィールドから離れてサロン的文学論を展開しているだけ」にとどまりが
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