新党「日本維新の会」を立ち上げた橋下徹大阪市長のいちばんの魅力は、日本の社会に蔓延する前近代的な統治構造を徹底的に批判し、改革したことです。 近代的な統治(ガバナンス)というのは、組織のなかで、責任と権限が一対一で対応していることです。ところが日本の社会では、責任がないひとが大きな権限を持っている、ということが頻繁に起こります。 年金記録問題などで廃止された社会保険庁では、年金データのオンライン化にあたって、労働組合が社会保険庁長官と「覚書」を交わし、勤務内容を細かく指示するばかりか、人事や指揮命令権までが交渉の対象とされていました。このような奇妙な慣行が続いていたのは、社保庁が厚生労働省の外局で、長官が厚労省のキャリア官僚の上がりポストで、現場がひと握りの幹部と労組の「談合」によって波風が立たないように運営されてきたからです。 こうした不祥事は中央官庁だけでなく、全国どの自治体でも見られ