ひと時代前のニッポン半導体といえば、なんといってもメモリーであった。筆者が本格的に半導体の記事を書き始めたのは80年代初めのころであったが、その当時にはDRAM、マスクROM、SRAM、EPROM、EEPROMなどメモリーの世界はまさに百花繚乱であり、バイポーラメモリーすら存在していたのだ。 今は経営状況が厳しいといわれるシャープだが、かつてはマスクROMの王者であり、任天堂のファミコン向けの増強計画をひたすら追いかけていたことを想いだす。半導体産業新聞を発刊したころは、DRAMの相場価格を1円でも下げた記事を書けば「月夜の晩ばかりじゃねえぞ。闇夜を歩く時には気をつけろよ」とおどしの電話をもらい、ワナワナと震える日々であった。 さて、今日においては、SRAMやEPROMの果たした役割の多くをフラッシュメモリーが担っている。DRAMはあいかわらず健在であるが、主用途のパソコンの世界が元気なく