今日は,筆者の顧問先企業の一つ,切削工具の金型メーカーであるC社を訪問しました。この中堅企業のコンサルティングを引き受けたキッカケは「どのようにしたら材料や製品などの在庫と,ERPシステムのデータとを一致させることができるのか」にありました。 一致しないことがあるのか,と驚いてはいけません。これは棚卸資産の評価に,ある方法を採用していると,問題の本質が見えなくなることに端を発しています。システムを導入したのはいいが,製造現場への指導や会計処理のアドバイスが放置されることによって,問題の傷口はさらに広がります。 ERP導入を手がけたシステム・インテグレータの担当者はホワイトカラーの典型ですから,機械油や塩酸のニオイが漂う製造現場に足を踏み入れ,自らの手を汚すわけがない。そして,ユーザー企業の官僚組織と化した本社部門では,「ERP前線,異状なし」と自らの失策を糊塗(こと)した報告書が作成され,