作家・演出家の鴻上尚史さん(61)は、ギャグに満ちあふれた芝居やエッセーなどを通じ、時事問題にも切り込んできた。近著では「世間」や「空気」に縛られて息苦しいこの国で、生き抜くための処方箋を示す。現代の日本は、その目にどう映っているのか。新作舞台などから「鴻上ワールド」をのぞいてみた。【沢田石洋史】 鴻上さんがツイッターの書き込みを検索していたとき、「おっ」と注目した言葉があったという。<ストリートライブは道交法違反です>。誰にも否定されない「正義の言葉」だ。「もし逆に<路上ライブを認めてやれよ>と書き込めば、<あなたは法律違反を擁護している>とたたかれる」。ここ1、2年でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は「正義の言葉」であふれるようになったとみる。 「スマートフォンを持った当初、人々は映画のうんちくなどを書き込んでいました。しかし、気取って感想を述べても、上には上がいて、否