夏の日照不足や多雨が、九州・山口の農作物に影を落としている。ナスやキュウリなどは育ちが悪く、小売価格は一時より落ち着いたもののなお平年より高めだ。湿度の高いときに稲に現れる「いもち病」の警報も21年ぶりに出された。農家は気をもんでいる。 野菜、天候不順で価格値上がり 「自然にはかなわない」。熊本市南西部のナス畑で今月初め、JA熊本市茄子(なす)部会長の中原克義さん(64)はため息をついた。ナス栽培を40年以上。いまは表面がやわらかくて甘いと評判の「肥後のでこなす」を育てている。 例年なら出荷を迎える時期なのに、畑に水たまりができて9月に入っても畑に苗を移せなかった。最近の好天でようやく移植は進んだが、「年末までの収穫に影響しないか心配だ」。 今春までの昨シーズンは、茄子部会で収穫された計約1万2千トンの大半を県外へ出荷した。JA熊本経済連によると、8月のナスの出荷量は前年の88%にとどまる