人間誰しも、自分が夢を持って関わっているビジネスについて否定的な意見は聞きたくない。だからだろうが、無条件にインターネットのバラ色の未来を語る読み物があとを絶たない。これからは紙媒体ではなくインターネットだ、と声高に叫びながら書籍を量産する矛盾を抱えつつ書かれた内容はというと、グーグル礼賛、ブログ過大評価、ネットがもたらす平等な社会……。インターネットビジネスに身を置く者にとっては夢を見させてくれる方が心地いいから、本は売れるかもしれない。しかし仲間内でほめ合っているような状態で進歩はあるのだろうか。世界的な経済危機、インターネットの先行きにも不透明感漂う今こそ、現象を先入観なく冷静に見据え、ある程度毒を含みながら分析する論調が求められるはずだ。その意味で本書は時宜(じぎ)を得た内容だといえる。 著者は、知る人ぞ知るあの「切込隊長」。そう聞くと、創成期からネットに関わってきたある種の層は嫌
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