2012年5月、福岡市が職員に自宅外での飲酒を1か月間禁じた「禁酒令」は人権侵害に当たるとして、市職員の男性が市に1円の損害賠償を求め、福岡地裁に提訴した。16日に第1回口頭弁論があり、市側は「不祥事を回避するためで、違法ではない」と、請求棄却を求める答弁書を提出した。 同市では06年8月に起きた市職員の飲酒運転による3児死亡事故後も飲酒絡みの不祥事が続き、高島宗一郎市長は12年5月21日付で「禁酒令」を通知した。 職員側は訴状で、業務時間外の飲酒は個人の自由で、公務員でも制約されないと主張。市側は違反した場合の処分が重くなるとも説明しており、「禁酒令には一定の強制力があった。自由権を侵害され、多大な精神的苦痛を被った」と訴えた。請求額1円の理由については、「金銭が目的ではない」とした。