【エレキギターの経済効果】 平野 啓一郎さん 2014年11月10日(最終更新 2014年11月24日 13時19分) 平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)さん=作家写真を見る ◆憧れが消費促した時代 私はエレキギターを弾くのが趣味で、その始まりは小学6年の頃である。 学生の頃は、時間は腐るほどあったが、金がなかったのでバンドを続けるのには苦労した。今は逆で、そのくらいの金はあるが、時間の融通が利かない。エレキギターは実際、若者にとってはなかなか金を食う趣味だった。 音楽を愛する純粋な気持ちからすると、その「経済効果」というのは鼻白まれるテーマだが、二十世紀後半にどうしてロックがあんなに流行したのかを考える上では、やはり欠くことのできない視点だろう。 実際、80年代に一人の少年がロックに目覚め、自分でギターを演奏したくなったなら、どの程度の出費が必要だったのだろうか? 多くの場合、エレキ