目で見たことのない日本を「妄想する」!? 「日本語が巧すぎる盲目のスーダン人」による初エッセイ『わが盲想』(ポプラ社)が2013年5月に上梓された。彼が「盲想」した日本とはどのようなものなのか、著者のアブディン氏に話を伺った。(聞き手・構成/山本菜々子) ―― 「わが盲想」が話題ですね。そもそもなぜ「わが盲想」というタイトルにしたのでしょうか。 ぼくは生まれつき弱視で、12歳の時に視力を失いました。初めて来日したのが19歳の時だから、ぼくは日本を目で見たことがないんです。視覚を使わないで聞いたり、嗅いだり、触ったりして想像した日本の姿を書きました。だから「盲想」ですね。もちろん、ヒットラーの「わが闘争」にかけています。 ―― 本を書くきっかけを教えてください。 ノンフィクション作家である高野秀行さんに「アブディンはネタの宝庫だから原稿を書いたらいいじゃない」と言われたのがきっかけです。彼