「ずっとこの生活を続けたいから、もう(放火は)繰り返さない。こんな気持ちになったのは初めて」。小柄な男性が米寿の祝いにもらった色紙と花のポットを自室で誇らしげに見せてくれた。北九州市に住む福田九右衛門さん(88)は軽度の知的障害があり、前科11犯。だが、刑務所を最後に出所した2016年から3年以上、穏やかに地域生活を営んでいる。(共同通信=真下周) ▽刑務所に戻りたくて放火 福田さんを支えるのは同市のNPO法人「抱樸(ほうぼく)」。約30年間ホームレス支援の活動をしてきた牧師の奥田知志理事長(56)が設立した。法人本部の「抱樸館」の中にある「ついのすみか」と呼ばれる天涯孤独な人のための施設が、福田さんの住まいだ。 隣室の男性(69)とは親友関係だ。毎日、部屋を行き来しながらおしゃべりしたり、スポーツ紙を読んだり。平日はほぼ毎日通うデイサービスでも、他の利用者やスタッフに愛想を振りまいていた