認知症の人が残した遺言をめぐり、親族間のトラブルが起きている。決着がつかず裁判で争う人もいる。父や母の「最後の意思」はどこにあったのか。 「おふくろがそんなことするはずがない」 2007年に亡くなった母の遺言を目にしたときのショックを、神奈川県の60代男性は忘れられない。息子である男性と妻、孫と長年暮らした家も、預貯金もすべて、母の妹(おば)に遺贈する内容だった。 実母を早く亡くした男性は、子どもの頃から実母の姉に育てられた。授業参観や遠足にも来てくれた。「私にとっては実の母と同じ」。男性は12年前に、正式に養子となった。 母とおばは親しく親類づきあいをしていた。とはいえ全財産を譲るのが母の真意とは――。男性はおばを相手取り、横浜地裁に訴訟を起こした。東京高裁は10年7月、母は認知症だったとして遺言を無効とした。 判決などによると、遺言作成までの経緯はこうだ。 男性は母と30年間同居し、妻
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