「銀河英雄伝説」は田中芳樹が1982年から発表した長編SF小説(全10巻プラス外伝5冊)であり、コミック化、アニメ化、舞台化されて初出から30年以上経った現在も高い人気を誇っている作品です。物語は銀河帝国のラインハルト・フォン・ローエングラムと自由惑星同盟のヤン・ウェンリーという、相対する勢力に属する二人の英雄を軸に、多数の魅力的な人物を配した群像劇。もしもまだ未体験の方がいらっしゃいましたら、ぜひお読み(あるいはご覧)くださいと全力でお勧めしたい傑作です。 さて、この二人の主人公ですが、どちらかが善で一方が悪という図式ではなく、共に読者(あるいは観客)の共感を得られるキャラクターに描かれています。しかしこの両名は決して共闘することはなく(実際に顔を合わせる機会もほとんどないのですが)、対立を続けることになります。同じように理想的な社会を求めているはずなのに…。それは、それぞれが属している