経済や社会の動向を示す指標の1つである「地価公示」。この統計を深掘りして分析してみると、ひと事ではないある社会現象が浮かび上がってきた。 これまで主に中山間地などの課題と指摘されてきた“限界集落化”が、地方都市の住宅地で進んでいるというのだ。いったい何が起きているのだろうか。 (ネットワーク報道部記者 伊賀亮人/テクニカルディレクター 斉藤一成)
経済や社会の動向を示す指標の1つである「地価公示」。この統計を深掘りして分析してみると、ひと事ではないある社会現象が浮かび上がってきた。 これまで主に中山間地などの課題と指摘されてきた“限界集落化”が、地方都市の住宅地で進んでいるというのだ。いったい何が起きているのだろうか。 (ネットワーク報道部記者 伊賀亮人/テクニカルディレクター 斉藤一成)
転機を迎えた郊外住宅地 「もっと若い人にここに移り住んでもらって、かつての活気を取り戻したい」 私たちが訪ねたとき、多くの住民からこうした声を聞きました。確かに広い庭や緑豊かな公園は、子育てには理想的な環境です。 しかし、いくら空き家があっても、地元の若い子育て世代が簡単に手を出せる価格ではありません。また、厳しい建築協定が結ばれているため、土地を分割して売却したり、アパートなどの集合住宅を建てたりすることもできません。良好な環境を維持するための配慮が、かえって若い子育て世帯が移り住むことを阻んでいるのです。 住民の1人は「地域のスーパーは閉店し、中学校も来年には統廃合されます。今は元気だからまだいいですが、10年後、20年後を考えると、このまま住み続けることができるのかどうか、本当に不安です」と話していました。 明治大学文学部の川口太郎教授は、日本の郊外住宅地は、大きな転機に立たされてい
産業遺産という言葉をご存知だろうか。かつて、その地域で繁栄した産業の姿を伝える遺構や遺物のことで、日本では特に明治以降の近代化に貢献した工場や鉱山を指すことが多い。近年では、地域活性化のための観光資源としても注目を集めている。 5月の大型連休に、その代表例である愛媛県新居浜市の旧別子銅山を訪れた。山間部の細い道を登った先に、巨大な石造りの遺構がある。銅山が繁栄した昭和初期にかけて、採鉱本部があった「東平地区」だ。森の中に忽然と貯鉱庫跡が姿を現すことから、「東洋のマチュピチュ」と呼ばれ、四国外からの観光ツアーも多い。 貯鉱庫跡の周りには、木々に隠れて無数の住居跡が広がっている。建屋は取り壊され、石垣や炊事場の跡が残るのみだが、最盛期には数千人が暮らし、小中学校も持つコミュニティーを形成していたのだ。だが、鉱石の枯渇などから銅山は1973年に閉山。山の中にほかに仕事があるはずもなく、鉱夫は山を
かつて、「管理放棄不動産」といえば、不動産収入で食えるようになって耕作されなくなった農地や、安い木材の輸入によって木材価格が下落し伐採がペイしなくなった山林のことを指していた。 しかし近年、管理放棄された住宅が、耳目を集めるようになってきている。 人口減少がしぶしぶながら認められはじめた頃、ある学会は今後の世帯数減少と住宅ストック数の供給トレンドから、2、30年のうちに、世帯数が住宅ストック数の1/2になる、すなわちただ数だけを考えるなら1世帯あたり2軒という、猛烈な「家余り」が生じると算出した。 もちろん住宅の供給は、その時々の景気動向や不動産価格に左右される。「家余り」=過剰供給自体が、住宅価格の下落というシグナルを発して、供給に抑制がかかることも予想される。ドラスティックな事態がそのまま生じるとするには留保がいる。 しかし、人口減少や高齢化は、場所によって差が大きい。「家余り」効果は
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