――峰さんはベストセラーとなった原作も発売当初に読んでいたそうですが、原作を読んだうえで映画をご覧になってみて、どんな感想でしたか? 峰:原作よりもキム・ジヨンの夫のキャラクターが丁寧に描かれていたのが印象的でした。夫のデヒョンが、わかりやすい悪役ではないというのがすごくよかったですね。亭主関白でもないし、モラハラ夫でもないし、DV夫でもない。家事にもそれなりに協力的。 でも、ジヨンがやっとの思いで探してきたカフェの仕事を「これが君の望む仕事か?」とあっさり全否定したり、「僕が育休とるよ。僕もこの機会に勉強や読書したいし!」と育児をナメくさった発言をしたり。悪気はないんだけど、女の大変さを全然わかってない。普通の男を普通に描いているからこその絶望がリアルでした。 ――悪気もなく優しいからこそ、男性からは「優しくていい旦那じゃん」「どこが悪いの?」といった意見も出てきそうな気がします。 峰: