2015年10月、池袋・某書店の人文書フロアで、私は立ち尽くしていた。棚に面出しで置かれた『あなたは、なぜ、つながれないのか』を前に、動けなくなっていたのだ。正直レジに持っていくには、少し勇気の要る本だった。実際、その日カゴに入れていた本は詩集ばかりで、本書は当時の自分が手に取る系統の本ではなかった。 それでも、刊行当初から否応なく気にかかる一冊だった。タイトルが目に飛び込んでくる度、反射的に目をそらしたくなる自分がいた。『あなたは、なぜ、つながれないのか』。他者と打ち解けることができない自分の弱さを責められているような不安、弱さを突きつけられることへの恐れ、それでも「他者とつながりたい」という気持ちがせめぎ合い、整理できない感覚に陥った。 「人に壁を作ってるよね」と冗談交じりに指摘され、内心図星だった学生時代。「そんなコミュニケーションの仕方じゃダメだ」と非難され、反省する一方で、「当た
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