人々が「共感」を判断基準に行動することの問題点を考えてきた本連載。今回から筆者・永井陽右さんが、自身の問題意識を専門家と語り合う対談篇に移ります。 初回の対談相手は、カント哲学を中心としたドイツ近現代哲学の研究者である御子柴善之さん。永井さんの大学時代の恩師です。 「善意」「尊厳」「人権」などのキーワードから社会問題を考察してきた御子柴さんは、永井さんの「共感ではなく理性を基準に物事を判断すべき」との主張にどう答えるのでしょうか。 人間は頭で理解しても心がついていかないと行動できない 永井 これまでこの連載では、共感を軸に人々が行動を選択することで、救われる人と救われない人が出てきてしまうことへの問題意識から、「共感」に頼りすぎてしまうことへの疑問について考察してきました。誰にでも共通の人権があり、「この人には共感できないな」と思う相手にもそれを認めて救いの手を差し出す考えを持つべきではな
![<06>街中でホームレスを見過ごす行為をどう考えるべきか? 自由と理性のあり方について(永井陽右×御子柴善之) | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1e9880d48d6a023bdca2e2f1eca89918b6866b4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.asahicom.jp%2Fand%2FM%2Fwp-content%2Fuploads%2F2019%2F03%2F190327_aragae_1193.jpg)