『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を観終わった僕は、なんとも言えない気分だった。「いい映画だった」、あるいは「ダメだったなー」ということではない。大好きなドラクエがついに映画になったことについて感動しているわけでもない。僕は、肩透かしを食らったような気分でいたのだ。普通のスライムと戦っていたはずが、実はメタルスライムだったような、そんな大胆な映画が作られるとは……。 これではまるで、僕が何を言っているのかがわからないはずだ。 『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』をゲーム『ドラゴンクエストV 天空の花嫁(以下、DQV)』の映画化として評価するのであれば、原作を超える魅力こそないものの、悪くない出来だ。 『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の巧みなところは、DQVの重要な部分を抑えつつ、そもそも「すべてのファンが納得する映画」を目指していないということだ。原作の印象深い場面をリッチな3