ロイターのカメラマン村本博之さん(43)が今月10日、バンコクでの反政府デモを取材中に銃撃を受けて亡くなった。私が1993年にロイターに入社して以来、少し年上の「ヒロ」さんは、優しい兄貴分のような存在だった。数多くの取材を共にした先輩を突然失い、信じられない気持ちと悲しみに暮れる日々が続いている。 そんな中でヒロさんの遺品となったカメラに残っていた映像が12日公開された。カメラは反政府グループと治安部隊の間の緊張が一気に流血の騒乱にエスカレートする様子をとらえている。 突然近くで爆発が発生。兵士が倒れ、他のカメラマン、そして治安部隊の兵士も走って逃げる中で、ヒロさんはゆっくりと後退しながらカメラを回し続ける。そこには目の前で起きていることを、なんとしても伝えようとする彼の意思が表れている。 しかし騒乱の中で、ヒロさんは胸を撃たれそのまま帰らぬ人となり、ジャーナリストが時として直面する危険を