以前行っていたジムに、体重100kg超と思われるでっかい少年がよく来ていました。顔を見ると10代後半ぐらい。最初は「肥満解消のために来ているのかな」と思ったのですが、この少年の運動能力が凄いんです。有酸素運動こそ苦手そうなのですが、ウエイトマシンではどの種目もおそろしく重い負荷にセットして軽々と挙げているんですよ。おまけにストレッチでは綺麗に180度開脚して上半身全部をぺったり床につけられるという柔軟さ。話しかけて仲良くなってからわかったのですが、彼は膝の怪我のために18歳で相撲部屋を引退したばかりの元力士だったのでした。 「膝の怪我って……90度レッグプレスマシンを最高重量にセットして楽々挙げられてるのに、それでも復帰ってできないものなの?」 とあたしが聞くと、彼はにやりと笑い、「ネエさん(と彼はあたしのことを呼んでいました)、ちょっとそこに乗ってみな」とマシンのてっぺんを指差しました。