「報道」の名のもとにクレムリンのプロパガンダを流し、政権への支持を下支えしているというロシアの国営メディア。そこで働く人材を養成する学校では何が教えられているのか。学生たちは本当はどう思っているのか。英誌がその内幕を取材した。 それはある月曜日、凍てつくような朝を迎えたモスクワでのことだ。モスクワ国立文化学院で、ユーリ・コットは学生たちの闘志に火をつけることにした。 「ロシア人であることの意味とは何だ!?」と声を張り上げ、身を乗り出し、学生たちに鋭い視線を投げかける。金髪の熊のような47歳の彼は、この学院のジャーナリズム学部の学部長だ。愛国的な大言壮語の数々で人気を博した彼は、ロシアのテレビ番組で引っ張りダコとなっている。 30人ほどの学生が押し込められた教室の壁は、湿気でまだらに汚れている。学生はロシアの各地から集まっており、ウラジオストク、シベリア、北極圏などからも来ている。ここはモス