ここはすべての夜明けまえ 作者:間宮 改衣早川書房Amazonこの『ここはすべての夜明けまえ』は、第11回ハヤカワSFコンテストの特別賞を受賞したSF中篇(もしくは短めの長篇といえるかぐらい)だ。特別賞は長さが短めだったり一点突破の魅力があったりで受賞する作品が多いが(たとえば過去事例で代表的なのといえば草野原々の「最後にして最初のアイドル」など)、本作も「刺さる人にはこれ以上なく深く刺さる」、2100年代を舞台にした、問題まみれの家族の物語だ。 とある理由からひらがなだらけの文章で物語が始まるので面食らうのだが、設定開示の順番は心地よく、すぐに作中世界へと入り込んでいくことができる。単行本になる前からゲラが配られたりSFマガジンに全文掲載されたりしていたのでエモいエモいと評判だけは聞いていたのだけど、実際に読んでみたらたしかにこれはエモーショナルな物語だ。しかし、ただ感動させよう、感動さ
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