検査でがんが見つかれば、「すぐに治療しなければ」と思うはず。しかし実際には、がんの部位や進行度、タイプ、年齢、体調、ライフスタイルなどによっては、治療がかえって悪影響を及ぼすケースがある。「治療しなくていいがん」「放っておいた方がいいがん」とは、どういったケースなのだろうか。【前後編の後編。前編から読む】 過剰な検査が無駄な治療を生む一方で、その精度を生かし、適切に取り入れて「見守ること」も立派な治療として発展しつつある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。 「欧米ではがんを直ちに切除せず、血液検査や超音波検査、CT、MRI検査などを定期的に受けて観察を行う『監視療法』が広く取り入れられています。甲状腺と前立腺に加え、乳管など乳がんが発生した場所にとどまっている『非浸潤性乳管がん(DCIS)』や膀胱がんにも監視療法を取り入れられるのではと注目されています。 実際、アメリカで複数の研