「食べる」「話す」「呼吸する」といった口の機能が十分に発達しなかったり、正常でなかったりする15歳未満の子どもの「口腔(こうくう)機能発達不全症」。2018年春に新しい病気として分類され、治療に公的医療保険が認められるようになった。生涯を通じて成長や健康に悪影響を及ぼすため、速やかに見つけて対処することが重要だ。(佐々木栄) 「口腔」とは、歯や舌、口の天井にあたる口蓋(こうがい)などを含む器官。呼吸や摂食など生命維持の根幹となり、コミュニケーションに不可欠な発声発語も担う。 これらの機能は通常、成長とともに自然に備わる。だが、食べ物をかんでのみ込む「摂食嚥下(えんげ)」がスムーズにできない、話し方が不自然、口呼吸をする、いびきをかくなど、気がかりな症状がみられる子もいる。こうした症状の総称が口腔機能発達不全症だ。 摂食嚥下の異常は〈1〉離乳期に、発育に応じた硬さや形状の食べ物が与えられなか