音楽のビジネスモデルの大きな変化は、音楽以外のさまざまなメディアやサービスのビジネスに何を示唆しているのだろう。 Napsterの功罪 前回従来型の音楽販売ビジネスは、CDから配信への移行が本格化する一方で、その規模を大きく成長させるのは難しいのではないだろうか、と述べた。 音楽販売においてネット配信がCDを追い抜くのは、おおむね2011年ころとの見方が有力だ。冒頭で述べたアップルの配信サービスがスタートしたころの見通しと比較すると、意外に速いペースで配信への移行が進んでいる。インターネットでの音楽流通は、アメリカのP2Pサービス「Napster」が最初にそのイメージを示したといっていいだろう。 1999年に始まるや大変なブームを巻き起こしたこのサービスは、音楽好きの生活者には夢の世界を提示し、音楽会社にはまさに悪夢を覚えさせるものとなった。少し乱暴な言い方だが、アップルのサービスでもその