電子書籍が注目される時代ではあるものの、ポケットに1冊という感覚で変わることなく高い支持を集め続けているのが文庫だ。古典から話題作までそのジャンルも幅広く、年齢の壁など関係なしに受け入れられているスタイルは、さしずめ書籍界の“ファンタジスタ”的存在かもしれない。 そんな文庫シーンにおけるキーワードのひとつが“映像化”。文庫化されるほど普遍性のある作品だけに、テレビや映画などの映像作品として世の中に認知されているものも少なくない。2010年のランキングを賑わした上位にも該当作が目白押しとなった。 そして、それらのなかで圧倒的なセールスをたたき出したのが湊かなえの『告白』である。2,161,520という売上部数は2位の3倍強の数字であるだけでなく、2008年に東野圭吾『容疑者Xの献身』が記録したオリコンの調査史上最高の年間売上記録149.3万部をも大幅に更新。まさに“ぶっちぎり”で、2010年