ウクライナ危機を受けてエネルギー確保をめぐる外交戦が過熱している。ロシア産天然ガスの途絶に備え、米国は欧州への代替供給を探る一方、ロシアは中国への追加供給を提案した。そのはざまで日本も非常時の備えが欠かせないが、かぎを握るガス大国との関係悪化が影を落としている。「日本はあれだけ動いて実現できなかったのに……」。政府関係者が嘆息するのは、1月31日の米国とカタールの首脳会談のことだ。バイデン米大
2000年頃までは化石燃料が生み出すエネルギーは安価かつ豊富と言えた。これまで石油や原油(*1)の生産量増加が世界の経済成長を支えてきた。正確には、「生産量増加」ではなく、「原油の正味エネルギー供給量の増加」というべきであろう。 ところが、その原油の「正味エネルギー供給量」は、2000年頃から減少し始めている。 今後も「正味」のエネルギー供給量の減少は続き、石油経済の行方に大きな影響を与える。しかし、ほとんどのエネルギー統計で「正味」は触れられることなく、「見かけ」の数字で構成される。「正味」を語らないエネルギー統計からは、この問題を読み取れない。 エネルギー統計で見えてこない“真実” 「正味」とはどういうことか。 原油を地下から回収するには、油田の探索を行い、発見できれば地下から回収するための設備や機器類を設営し、採掘する。これら全工程で直接あるいは間接的にエネルギーが消費される。当然だ
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