<1面からつづく> ◇衣装ケースで水槽 メス手作り 「さあ、明日の実験の準備をするか」 東日本の地方国立大で生物学を専攻する50代の男性教授は、近くのホームセンターで1本50円で買った細長い木の棒を取り出した。長さ20センチほどに切り、先端に切れ込みを入れる。カッターナイフの刃1枚を差し込み、固定する。実験動物の解剖などに使う手作りメスの完成だ。実験機器のカタログで買うより1本あたり数百円安く、「実験のたびに新しいメスを作るから、切れ味は案外いいんですよ」と、自嘲(じちょう)気味に笑う。 実験動物を飼う水槽も手作りだ。普通に買えば10万円以上かかる。一つ980円の透明な衣装ケースを並べ、パイプでつないだ。かかった費用は計2万円。自腹で払った。 今年度、大学から男性教授に支給された研究費は約30万円。学会出席の旅費、実験の試薬代、動物のえさ代などで、すぐになくなる。国立大学法人化(04年度)