※前書きとお断り※ 白状すれば、この「おおかみこどもの雨と雪」はもとより、細田守監督の劇場長編アニメについてこれまで何かを書くことは気が進まななかった(実のところ現在でもそうだ)。なぜならば、細田アニメに関しては様々な人々の思惑が錯綜しており、それらと対峙することが非常に億劫だったからである。 それは、ポスト徳間の地位を虎視眈々と狙う出版社の野望であったり、ジブリが発言力をもち、やれ地上波ではノーカットで、スタッフロールは最後まで放映しろだの口やかましくなったことを疎んじるテレビ局や広告代理店だのの欲望であったり、はたまた、上の世代のアニメファンにおける富野由悠季や押井守や庵野秀明のように「僕ら世代のアイドル監督」として細田守という作家・監督を神格化しようと躍起な、40代以下のオタク達の過剰とも言える信仰であったりする。 そういった「うざったいノイズ」があることを承知してもなお、これを書い