昔、両親が健在だったころ、わが家のあんこ作り担当は父でした。祖父が一時「あんこ屋の職人」をしていたそうで、作り方を教わったと聞きました。 お彼岸には、大きなお鍋いっぱいの小豆あんを使い、家族総出でおはぎをこしらえるのが年中行事でした。 父が指定していた小豆の品種は「大納言(だいなごん)」。今回、調べて知ったのですが、大納言小豆は粒が大きく、色はきれいで味もよいという、高級ブランド小豆だったのです。 なるほど、母と一緒に買いに行くと、大納言を置いていない店もあり、 「こっちの小豆じゃダメなの?」 と尋ねたことを覚えていますが、凝り性の父らしく、作るからには最上級の豆がよかったのでしょう。 買ってきた大納言小豆は、新聞紙のうえに広げて品質チェックしました。黒っぽく変色した豆などを取り除くのですが、時代が時代(昭和)なので、まれに小さな石粒を発見することもあり、父に「よく見つけた」とほめられて、