小学生の時。確かにかめはめ波を出せていた。手のひらには妄想エネルギーが集まり、私はそれを自分が作り出したんだと信じて架空の敵に打ち込んでいた。 35歳になった今、私が出せるのは愚痴とゲロと精子とウンコ位。 久しぶりに本気でかめはめ波をしてみたが、大声が室内に響き渡り、大家が来て「大丈夫かい?」と煮物をくれた。
小学生の時。確かにかめはめ波を出せていた。手のひらには妄想エネルギーが集まり、私はそれを自分が作り出したんだと信じて架空の敵に打ち込んでいた。 35歳になった今、私が出せるのは愚痴とゲロと精子とウンコ位。 久しぶりに本気でかめはめ波をしてみたが、大声が室内に響き渡り、大家が来て「大丈夫かい?」と煮物をくれた。
いつも「その話は前にも聞いたよ」と言うかどうか悩む。 私はいつも、さも初めて聞いたかのように振る舞って驚いたり笑ったりの演技をしてしまう。 でも、話してる側が既出の話であると思い出したら恥ずかしい思いをするんじゃないかとも思うし、 もしやわざと同じ話をすることでちゃんと聞いているか試してるんじゃ?と思うことすらある。 妻がよく同じ話をする。 妻は結婚式場の配膳スタッフのパートをしていて、私によく仕事の話をする。 「こんな挨拶があってもらい泣きした」 「こんな余興があって面白かった」 普通なら見ることのできない他人の結婚式の話は面白く、いつも楽しく聞いていた。 妻はもともと忘れっぽく、昔から同じ話をすることはよくあった。 その頃、私は都度「それ前も聞いたよ」と軽く言っていたのだが、 何故今それを言うか悩んでるかというと、正確には同じ話じゃないからだ。 「新婦が持ってきた手作りテディベアを参列
現在私は工場勤務で、昼勤夜勤を繰り返す部署にいる。工場の御多分に洩れず、最寄り駅に各駅停車しか止まらないような田舎に職場があり、住んでいるのも各駅停車しか止まらない安さだけが売りのアパートである。夜勤の場合、いつ終わっても30分は電車を待つ必要がある。 私は、かつてこの30分が嫌いで仕方がなかった。 工場勤務は退屈である。ただ同じ作業を繰り返すのみ。作業をしながら考え事をするか、うるさい環境を利用してそこそこの音量で歌うくらいしか退屈しのぎがない。そんな退屈が終わった後に30分も無為な時間を過ごしたくない、早く帰って飯食って酒飲んで寝たい、以外の感情がなかった。 去年の今頃、勤務中退屈しのぎに考えていたことを、30分の退屈しのぎに文章に起こすことを始めた。工場勤務者の御多分に洩れず、私は頭が良くない。私がそれまでに書いた文章なんて、2ページと1行の読書感想文が恐らく最長だろう。四苦八苦しな
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