90代で手術をするということ ここまでお読みになり、皆さんはどう感じたでしょうか。「90歳を超えて、つまり平均寿命を超えているのにまだ手術をするなんてとんでもない」と思われた方もいるかと思います。 実際のところ、今の病院現場では「高齢だからもう治療はしない」というシーンはそれほど多くありません。もちろん本人やご家族が望まないときは無治療という選択もあり得ますが、治療に耐えられる状態であれば、基本的には治療をすることが多いと思います。 私の専門である消化器のがんでも、90歳を超えるような超高齢者の胃がんや大腸がんといったがんは基本的に手術を行います。それは、手術をしないとかなり厳しい状況になってしまうからです。このかなり厳しい状況について詳述は避けますが、「口から便を吐く」などの症状が出るという具合です。 90歳を超えた患者さんの消化器がんの手術は、私も日常的に執刀しています。超高齢者の患者