慢性硬膜下血腫とは 慢性硬膜下血腫とは比較的軽微な頭部外傷後、一ヶ月ほどたって硬膜下(下図)にじわじわと出血がたまってきて、痴呆、歩行障害、意識障害などがあらわれる病気である。たいていは当症例のように家族が「おじいちゃん(おばあちゃん)が何か最近言動がおかしい」といって連れてくることが多い。原因となる外傷はたいしたことがないことがなく、たとえばクルマから降りるときに頭をちょっとぶつけた、というくらいでもこの病気となることがある。急性の病気ではないので死亡率はそれほど高くはないが、診断がつかないで放置されれば頭蓋内圧が亢進し、死亡することもある。また血腫は小さければ自然吸収されることもあるが、ある程度以上大きくなれば自然治癒することは基本的になく、手術的に血腫を取り除かない限りは、症状は持続する。さらに症状が出てから早く手術すればするほど症状の回復もはやいので、私は診断がつき次第、事情が許す