──今年(2024年)完結した『スルーロマンス』。読んだ後にじわっと爽快な気持ちがわいてくる女性二人の物語でしたが、最初のアイディアはどのようなものでしたか。 前作(『まじめな会社員』)は自意識の話だったので、主人公が頭の中で考えていることをずっと追っていて画面に変化が出づらかったんですね。だから『スルーロマンス』では女性の二人暮らしを描こうと思いました。そうすれば絶対に会話が生まれるから。 ──自由奔放なマリと、頑張り屋の翠。キャラクターはどのように作っていきましたか? あまり考えないタイプの人を描いてみたくて、マリができました。自分の中にはない要素ばかりで難しかったので、どういうキャラクターなのかを忘れないようにトルーマン・カポーティの小説『ティファニーで朝食を』の主人公ホリー・ゴライトリーをモデルにしようと決めて。マリはうっすら芸能の仕事をしているけど、何をしているのかよくわからない