とある飛空士への追憶(犬村小六) 2月下旬に発売されて以来、ライトノベル書評サイトを中心にクチコミで広がり、DAIさん帝国さんや、マンガがあればいーのだ。さんのようなコミック紹介サイトにまで波及している大傑作。 「貴様にひとつ、重大な任務を託したい」 「次期皇妃を水上偵察機の後席に乗せ、中央海を単機敵中翔破せよ」 身分の低い傭兵飛空士シャルルに下された命令は、前代未聞の敵中突破指令だった。 西方大陸を支配する神聖レヴァーム皇国と、東方大陸を支配する帝政天ツ上が戦争を続けている時代。数十年にわたって優勢を維持していたレヴァーム皇国は、天ツ上の熾烈な反攻をうけて、東方大陸における橋頭保を失いつつあった。 すでに敵国に制空権を奪われつつあるなか、取り残された皇子の婚約者ファナを乗せて、1万2000キロという長大な距離を翔破する。じつに単純明快で王道の物語である。 レヴァーム人と天ツ人の血を引くシ